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分子の目から見た生態系の環境応答(6月16日)

プログラム担当研究室

概要

地球上のほとんどの場所では、刻々と環境(温度、湿度、光など)は変化します。生物は、生き残る為にまたはより勢力を広める為に自分を取り巻く環境の変化を機敏に察知し、それに適応しています。また、生物は単独で生きていくことができるものは極めてまれで、生物の間で助けあったり刺激しあったりして「共存関係」を形成し、生存しています。このような関係を保つことはそれぞれの生物にとってとても重要です。生物界における生産者である植物は移動ができない為に、環境の変化に適応する特殊な能力を備えていると考えられています。こうした生物の複雑なネットワークは、あらゆる有機物を様々な形に変換し循環させることで、植物・藻類による光合成に端緒を発する巨大なバイオスフェアを維持していると考えられますが、その実際の様相は環境中の大部分の微生物が培養困難であるためにいまだによく分かっていません。当研究室では、植物の環境適応機能に密接に関与する植物ホルモンアブシジン酸の応答機構や、当研究環境中の物質循環や微生物の集団構造、そこで働く様々な因子群、更には、生物間の相互作用に注目して研究を展開しています。
本バイオエキスパート実験講座では、こういった複数の生物から成り立ったシステムのうちでも、非常にコンパクトにまとまったモデル生態系をもちいて、その全体像を知るための手法を解説します。そのために、微生物の遺伝子組成の変動を調べることで、環境変化に伴うその集団構造の変化を包括的に解析します。さらに、それに付随した環境中の物質循環を最新の核磁気共鳴(NMR)法を用いた代謝プロファイリングよって捉えます。さらには、それらの様々な包括的解析法を統合する、統合オミクス的な環境研究の可能性について解説します。

実験内容

1.環境微生物ゲノムの抽出
 様々な条件下のミニ生態系から、DNAを簡単な抽出法を用いて取り出してみましょう。さらにそこから微生物の種類の目印となる小サブユニットリボゾームRNA遺伝子をPC R法を用いて増幅してみましょう。

2.遺伝子の変動による微生物集団構造の解析
 培養土より抽出したゲノムより増幅した小サブユニットDNAの増幅産物を使って、RFLP解析を行います。同時に実際の装置を見ながら、培養を経ずに微生物の集団構造や遺  伝子発現の変動を解析する手法のいろいろについても解説します。

3.NMR法による代謝プロファイリング
 生態系の物質循環に深く関わる代謝混合物をNMR法によりプロファイリングします。様々な環境サンプルから代謝物を抽出し、5mm径のNMR管にサンプリングします。生態系 内での環境への応答により、糖、有機酸などの含有バランスが変動していると、1H-NMR のスペクトルパターンの対応する周波数にも、変化が観測されるはずです。さあ、エコ システムという複雑系を、NMRというラジオ波の目で"観察"してみましょう。

4.統合オミクスの可能性
 このような、様々な方法で取得された包括的な情報群は、複雑になればなるほどその解析が困難になっていきます。我々は、集団(コミュニトーム)・遺伝子(ゲノム・トラ ンスクリプトーム)・タンパク質(プロテオーム)・代謝物(メタボローム)といっ  た、様々なレベルで起きている事象を包括的に捉えるだけでなく、情報科学というツー ルでそれらの間の様々な関係性を明らかにしていくことを目指しています。オミクスの 足し算では、1+1の答えは2ではありません。無限大です。