ナビゲーションをスキップして本文へ
  • Japanese
  • English
  • 通常版
  • テキスト版
  • 資料請求
  • お問合せ
  • サイトマップ
  • 大学トップ

研究者検索


ここから本文

HOME  > 研究成果  > 専攻NOW  > 第2回 清水敏之准教授

第2回 生体高分子の立体構造とそのはたらきを研究する構造科学研究室の清水敏之准教授

生体超分子科学専攻に所属する皆さんにスポットを当ててインタビューし、専攻の今をリアルタイムでお伝えする「生体超分子専攻NOW」。

第2回は、X線解析法によりタンパク質や核酸などの生体高分子の立体構造とそのはたらきを研究している清水敏之准教授にお話を伺いました。

研究内容について

まず、先生のご研究の内容からお伺いしたいのですが、どのようなご研究をなさっているのでしょうか?

私はX線解析法(*1)と言う方法を用いて生体内で機能しているタンパク質を中心とする生体高分子、さらには生体高分子同士の複合体の立体構造を決定するという研究をしています。このことはその分子の機能の理解に大きく役立つと信じています。

現在は転写(*2)やシグナル伝達(*3)(特にカルシウム結合タンパク質)に関わる分子や生物学的に面白そうな分子の解析を進めています。

先日先生の所属する研究チームの論文(*4)がMolecular Cell誌に掲載されましたが、どのような研究内容ですか?

「タンパク質の核内輸送に関与するキャリア−分子(トランスポーチン)の構造−機能解析」に関する研究です。私はこの研究ではサポート的な役割をしていました。

細胞の中には遺伝情報を蓄えている核という場所があり、その中では複製、転写といった基本的な生命の営みが行われています。核は核膜で覆われており、分子量の大きなタンパク質はそのままでは通り抜けることができません。そのため、核の中ではたらくタンパク質には目印がついており、運送屋タンパクがそれを見分けて自分の荷物(タンパク)を運びます。運送屋タンパクにはいくつかの種類があり、通常は別々のものを運びます。

それらをどうやって見分けているのか?またいったん積んだ荷物(タンパク)をどうやって降ろすのか?運送屋タンパクによってその方法は違うのか?それを解明したのが今回の成果の一つです。

まず荷物を持っていない状態といくつかの荷物をもった状態の運送屋タンパク質をそれぞれ結晶化し、X線回折装置を用いてその構造を調べました。そして荷物を持っている状態と持っていない状態でどのように構造が変化するか、荷物の持ち方に違いがあるかなどを原子レベルで明らかにしました。

この研究は核輸送という生体内で行われている普遍的なことを原子レベルで明らかにした、と言うことが高く評価されたものと思います。

この研究成果を今後どのようなことに応用できると思いますか?

我々の大きな研究目標は生命現象の原子レベルでの解明なので今回の研究は十分この目標に合致していると思います。この成果が何かの薬の開発にすぐ結びつくということはないかもしれません。しかし、例えばあるタンパク質を核移行させたいとき今回見いだした配列をつけてやるといった応用例は考えられると思います。

大学での研究の面白いポイントは何ですか?

私の研究はすべて“どうしてこうなっているのだろう?”という純粋な疑問、好奇心からスタートしています。営利目的でない研究も比較的できるというのが大学の魅力です。

生命現象は大変複雑なものでそう簡単には解明されないと思いますが、個々の積み重ねが大切だと思います。今は基礎研究であっても、その成果はいずれ大きな成果に結びつくものと思っています。

教育について

大学院教育で、もっとも力を入れていることは、どのようなことでしょうか?

現在行っている研究や習得した技術が将来そのまま役に立つことは、修士で卒業する学生にとってはほとんどないかもしれません。しかし、たとえば実験がうまくいかないときに、誰かにアドバイスをもらったり、自分で情報収集したり、論文を読んで調べたり、自分で考えたりすることによって、問題解決能力をつけることは重要だと思います。どのような分野に進んでもその経験は必ず役に立ちます。


研究を進める中でこのような力が身についていくと思いますので、大学院では全力で自身の研究に当たって欲しいと思っています。

清水先生の研究室に入るには、どのような勉強をしておくべきでしょうか?

研究室に配属されると専門の勉強ばかりになってしまうので、入学前は基礎的な勉強を広く行うことが大切だと思います。鶴見キャンパスではどの研究室に配属されても生物は必須です。

また、私の研究室は有機化学や物理化学の知識も必要な場面があるので、大学の教養レベルの勉強は入学までにしてきた方がよいと思います。

研究室の学生の進路はどうですか?

博士前期(修士)課程で卒業した学生は、製薬、コンピュータ関連、公務員などさまざまです。博士後期(博士)課程で卒業した学生は、他機関の助教、博士研究員として働いています。

研究/教育環境について

構造科学研究室の雰囲気はどんな感じですか?

朝早くから、夜遅くまで皆さん研究に励んでいます。ときどき夜は飲み会になっています(笑)。また週1回の文献紹介、月1回の実験報告を行い、情報の収集や実験の方針などをたてています。年1回他大学と合同でセミナーを行い、互いに研究成果を発表し、意見交換を行う交流会も行っております。学生同士仲が良く、仲間同士助け合いながら行っています。

先生から見た鶴見キャンパスの印象は?

小規模ながら非常に活発に研究が行われていると思います。研究室間の交流も盛んで、多岐にわたる専門家がおり、問題があっても適確なアドバイスがもらえます。私も他の先生からアドバイスをもらったり、逆に共同研究を頼まれたりすることがあります。

先生について

大学院生の時はどんな学生でしたか?

結構まじめだったと思います(笑)。朝から夜まで研究活動をしていました。私は薬学部に通っていたのですが、薬学部は他の学部に比べて人数が少ないので他の研究室の人とも仲良くなれました。学生の頃だけでなく、卒業してからも色々な分野で活躍している友人に相談したり質問したりしています。

いつ頃研究者になりたいと思いましたか?

小学生のときから科学に関する本はよく読んでおり、漠然と科学の研究者になりたいと思っていました。子供の頃は科学博物館によく行きましたね。あと国語と社会が苦手だったこともあります。(笑)

留学経験はありますか?

私は留学経験もなく海外で長期に滞在したことはありません。ただ、以前に所属していた研究所は比較的外国人の方が多く少し海外っぽかったですね。

最後に、鶴見キャンパスを目指す学生の皆さんに一言お願いします。

とにかく興味のある方は一度研究室に来て下さい。話を聞くだけでも大歓迎です!もちろんメールでの問い合わせもOKですよ。

今回は、構造科学研究室の清水敏之准教授にお話をいただきました。詳しい研究内容などの情報を知りたい方は、先生のホームページ をご覧ください。清水先生、今日は、お忙しいところ、どうもありがとうございました!

Profile

清水 敏之(しみず としゆき)
東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了(1989年)、博士(薬学)。キリンビール、蛋白質工学研究所、奈良先端科学技術大学院大学助手を経て、2001年4月より横浜市立大学大学院総合理学研究科助教授。2005年より国際総合科学研究科准教授。

Keywords

(*1) X線解析法
波長の短いX線を物質が規則正しく並んだ結晶に照射し、回折されたX線の強度を詳しく解析することにより、結晶内の分子構造を解明する手法のこと。タンパク質の立体構造を実験的に決定するもっとも有力な手法のひとつである。

(*2) 転写
遺伝情報の担い手であるDNAの配列をもとにしてRNAを合成する過程のこと。転写には数多くの因子が関わる。

(*3) シグナル伝達
情報がある形から他の形に変えられて伝わっていく過程のこと。細胞内では外界からの情報を受容する受容体からはじまり、情報が交換され、配分・分岐が起こり複雑な応答を引き起こす。ここでも多くの因子が関わっている。

(*4)
Structural basis for substrate recognition and dissociation by human transportin 1
(Molecular Cell, Vol 28, 57-67, 12 October 2007)

過去の専攻NOW

【第1回】植物の環境応答を研究する環境生物学研究室の平山隆志准教授