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HOME  > 研究成果  > 専攻NOW  > 第9回 明石知子准教授

第9回 質量分析装置でタンパク質の構造解析を行っている機能科学研究室の明石知子准教授

生体超分子システム科学専攻に所属する皆さんにスポットを当ててインタビューし、専攻の今をリアルタイムでお伝えする「生体超分子システム科学専攻NOW」。

第9回目は質量分析装置を使ってタンパク質の構造解析の研究をしている傍らでご趣味の生け花でも教授の資格をお持ちの機能科学研究室の明石知子准教授にお話を伺いました。

研究内容について

先生(のチーム)の研究内容を「私にも分かるように」教えて下さい。研究対象は?どんな手法を用いて?将来はなんの役に立つ?

原子や分子など何にでも存在する質量の情報を手掛かりに、主にタンパク質の構造解析を行っています。手法としては質量分析(*1)を利用しています。
遺伝子からタンパク質ができる過程の中で、DNAからRNAへの転写(*2)の際に機能するタンパク質を主なターゲットとして分析、研究しています。また、質量分析を使った、タンパク質の構造解析のための新しい方法論の開発も手掛けています。今は基礎研究が中心ですが、研究を進めることで、結果的には製薬などに役立つと考えられます。

先生が構造解析に使われている質量分析装置について教えてください。

田中耕一(*3)さんがノーベル賞を受賞したことにより質量分析を使った研究が特集されたりして一般にも広く知られるようになりました。身近な生活の中でも多く使われている装置で、例えば産地偽装を調べる時やドーピング検査を行う時なども、この機器を利用します。産地偽装については、対象となる野菜などを育てた土を構成する質量の違う炭素原子(同位体)(*4)の割合を正確に求めることによって明確な産地を判明させたり、ドーピングも同様に、尿中に禁止薬物やその代謝物が存在するのか、するとしたらどれだけの量が存在するのか、ごく微量でも検出し正確に測定できることなどから活用されています。 
但し一つの機器で全て対応可能という訳ではなく、研究内容や目的によって様々な装置の種類がある上に、機器を操作するためのテクニックなども必要になるものです。また、装置はどんどんモデルチェンジされ新しい概念に基づく装置が開発されます。そういう点では車にも似ていて新しいものは使いこなすまで時間がかかったり、古いものでもメンテナンスをしっかりすれば長く使えたりします。

この研究内容の大変なポイント、面白いポイントは?また研究していて良かった、うれしかったと思うときは?

大変な点は誰もがそうだと思いますが、実験は簡単でなく、なかなか思うようにいかないことが多い点ですね。その一方で面白いところは、自分が初めて真実を発見できるという点です。

先生について

先生はもともと企業に在籍されていらっしゃったと伺っておりますが、企業の研究者と大学の研究者との違いはありますか?

企業との一番の違いは、企業の研究は安全が何よりも優先され、安全に対する教育が徹底しているところです。 また、私の在籍していた企業(味の素(株))は、企業目的のために必要な道具(実験機器等)を揃えることに極めて積極的だったと思います。一方で大学では予算などの関係もあるため、大型実験機器を早いサイクルで更新することは難しく、これは大きな違いを感じています。。また、私の在籍していた企業では、研究者として世界に認められるには学位をとるのがほぼ当たり前と考えられていたので、そのために、学位の取得も企業在籍時でした。これは非常に恵まれている特殊ケースだと思います。

先生が大学生の時はどんな学生でしたか?

学部が薬学部で、今の専門とはちがう有機合成化学の実験をしていました。大学のルールで当時は夜10時に全員退出しなければならなかったので、朝早くから学校に行って計画的に研究していましたね。だから今でも朝は比較的早めに来ていますね。あの頃の習慣なのかもしれません。

いつ頃研究者になりたいと思いましたか?

大学を卒業して、味の素(株)に就職しました。その企業では分析をする部門にいて、各部署からの開発に絡んだ依頼分析を担当する傍ら、10〜20年後の会社の将来の研究開発を見据えた基礎研究を進めていました。入社して間もないころ、まだタンパク質をそのまま測定できる装置が世の中になかったにも関わらず、私たちのグループではいち早く質量分析によるタンパク質の構造研究を手がけていまいした。
このような私たちの研究がアメリカの大御所の女性の教授の目にとまり、アメリカの学会で口頭発表するように招待されました。その際に、中高時代、学んでいた英語を改めて勉強し直して、発表の練習を積んで臨んだ結果、非常に評価していただけました。その時にすごく嬉しくまた楽しかった経験があり、それがきっかけで学位を取りたいとも思ったので、今思えばそのアメリカでの経験が大きかったのかもしれません。その後、6年間の理化学研究所勤務でも、上司の理解でそれまで行っていた研究を発展させた自分の研究を展開することができました。

海外での研究経験は?

特にありませんが、英語については中学・高校がカトリック系の学校に通っていて会話の授業も多くあったので、留学経験がなくてもそれなりに話すことはできているように思います。

最近はまっていることは?

特別に最近ではありませんが、15年くらい前から毎朝、20分くらい走っていますね。
冬場にはスキーにも行きます。体力が落ちると仕事にも影響が出ますので、体力の維持は重要だと思っています。

先生は生け花をされていると伺いましたが、これまでの作品やお好きなお花など教えて下さい。

古流という流派でいけばなを長く習っていて教授(副総司次席)の資格を持っています。私の流派では資格をとると「理」という名前をいただくので私は明石理知という名前を持ってます。花展などにも出展しますが、どの花材をつかうか、また、いかに際立って魅力的に生けるか工夫することで生け花にも独創性が重要となります。それは研究でも一緒でやはり個人の独創性が重要になりますよね。

教育について

学生さんには研究に対してどんな風に取り組んで欲しいと思って教育されていますか?

広い世界をみなさい、視野を広く持ちなさいと指導しています。私自身、学生時代にお世話になった先生から「研究は人柄です」と教えられました。
同じように私も「研究には人柄が反映される」 と思います。どんな研究でもその人の人間性が重要で、コミュニケーションを図り他の人がどう考えてどのようにして研究を進めているか、自分はどうなのかを感じて欲しいです。

先生は鶴見キャンパス設立当初から着任されていらっしゃいますが、当時の鶴見キャンパスの印象と現在の印象は?何か変化がありますか?

私に対する学生さんからの印象が変わっているのではないかと思います。鶴見キャンパスに来た当時は学生さんと今ほどは年齢の差が大きくなかったのでもっと近い距離感で接していましたが今はちょっと違ってきています。これは自分が年をとったということの裏返しなのですが。

最後に鶴見キャンパスに興味を持ってくださっている学生さん(大学生など)へメッセージをお願いします。

1つのキャンパスとしては設備などが非常に恵まれている環境です。同じ現象を違う角度から見ることが出来るのは、非常におもしろいです。皆さんが今まで習得したことは大きな強みですが、鶴見キャンパスは異なる学部や専攻から多く人が集まるので、是非とも、自分の持っている強みを更に増やすことのできる本専攻で大きく成長して下さい。

今回は、機能科学研究室の明石知子准教授にお話をいただきました。詳しい研究内容などの情報を知りたい方は、先生のホームページをご覧ください。明石先生、今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました!

Profile

明石 知子(あかし さとこ)
薬学博士(1991年千葉大学)、味の素(株)中央研究所、理化学研究所を経て、2001年4月より横浜市立大学大学院総合理学研究科助教授。2005年4月に大学院国際総合科学研究科、2009年4月に大学院生命ナノシステム科学研究科に改組。

Keywords

(*1)質量分析法 
原子や分子の質量を測定する方法。原子や分子をイオンとして気化し、イオンを電場や磁場中に導入することで測定が可能となる。電場や磁場中でのイオンの運動は質量によって異なるためイオンの加速や曲がり方などを測定すれば、その質量が判明する。

(*2)転写
遺伝情報の担い手であるDNAの配列をもとにしてRNAを合成する過程のこと。転写には数多くの因子が関わる。

(*3)田中耕一さん
(株)島津製作所の技術者。生体高分子の質量分析法「ソフトレーザー脱離イオン化法」の開発が評価され、「生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発」によりアメリカのJ・B・フェン、スイスのK・ビュートリッヒとともに2002年のノーベル化学賞を受賞。

(*4)同位体
同じ元素でも、陽子の数が同じで中性子の数が異なり、その結果、質量の違う原子のこと。

過去の専攻NOW

【第8回】コンピュータで大規模遺伝情報解析を行っているゲノム機能科学研究室の川路英哉客員准教授

【第7回】抗エイズウィルス活性を有するタンパク質の動作機構を解明した生体超分子計測科学研究室の片平正人教授

【第6回】病原菌のヘムセンサーの役割をタンパク質レベルで研究を行っている分子生理学研究室の中村寛夫准教授

【第5回】インフルエンザウイルスの増殖を担うRNAポリメラーゼサブユニット複合体の立体構造を解明した生体超分子設計科学研究室の朴三用准教授

【第4回】腸管免疫系の仕組みについて研究をしている免疫生物学研究室の大野博司教授

【第3回】DNA組換え反応の全体像を研究する創製科学研究室の岩崎博史教授

【第2回】 生体高分子の立体構造とそのはたらきを研究する構造科学研究室の清水敏之准教授

【第1回】 植物の環境応答を研究する環境生物学研究室の平山隆志准教授