概 要
天然変性タンパク質は単独ではポリペプチド鎖が大きく揺らいだ変性状態として存在しています。しかし、ターゲット分子と結合すると、ターゲット分子の構造に応じて立体構造を誘起させて分子認識を行っています(図1)。このような分子認識機構は従来のタンパク質の分子認識の概念である鍵と鍵穴モデルや誘導適合モデルとは全く異なっており、タンパク質の構造・機能研究の新しいパラダイムが構築できるものと期待されます。また、天然変性タンパク質はハブ(中核)タンパク質として細胞内ネットワークにおいて重要な役割を担っています。真核生物には非常に多くの天然変性タンパク質が存在しています。ですので、天然変性タンパク質の理解がなくしては真核細胞の機能解明は困難です。また、創薬においても、天然変性タンパク質の分子認識機構が解明されないと疾患関連タンパク質に対するターゲット分子(薬剤候補化合物)の設計はむずかしく、本領域研究の成果が期待されます。
本領域研究では、「天然変性タンパク質の大きく揺らぐ立体構造を解析する手法や方法論を開発する研究(A01)」、「天然変性タンパク質の機能を分子生物学・生化学・分子遺伝学的手法などで明らかにする研究(A02)」、「天然変性タンパク質の分子認識機構を理論的な観点やデータベースに基づいて予測する研究(A03)」を柱に研究を推進させるとともに、それらの研究を相乗的に融合させることによってそれぞれ単独では達成が困難な天然変性タンパク質の分子認識と機能発現機構の解明を目指します(図2)。
本領域研究では、「天然変性タンパク質の大きく揺らぐ立体構造を解析する手法や方法論を開発する研究(A01)」、「天然変性タンパク質の機能を分子生物学・生化学・分子遺伝学的手法などで明らかにする研究(A02)」、「天然変性タンパク質の分子認識機構を理論的な観点やデータベースに基づいて予測する研究(A03)」を柱に研究を推進させるとともに、それらの研究を相乗的に融合させることによってそれぞれ単独では達成が困難な天然変性タンパク質の分子認識と機能発現機構の解明を目指します(図2)。