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第2回若手育成講習会「NMRによるタンパク質解析法の基礎的理解(概論と実習)」が開催されました。


2011年4月26日に大阪大学蛋白質研究所にて、第2回若手育成講習会「NMRによるタンパク質解析法の基礎的理解(概論と実習)」が開催されました。参加者の方々から講習会の感想を書いていただきましたのでご覧下さい。


第2回若手育成講習会「NMRによるタンパク質解析法の基礎的理解」に参加して

大阪大学蛋白質研究所で開かれた第2回若手育成講習会「NMRによるタンパク質解析法の基礎的理解」に参加しました。講習会は実習班と講義班に分かれており、私は講義班として参加しました。午前の講義 (廣明先生、菅瀬先生) では、天然変性タンパク質の研究においてNMRをどのように利用すればよいか、NMR実験から何が分かるか、NMRから得られたデータをどのように解釈すればよいか、について学びました。午後の講義 (北原先生、加藤先生、小林先生) では、様々な試料を標的としたNMR技術の応用について学びました。
講義のなかで、天然変性タンパク質では、特定の立体構造をとらない変性した領域がターゲット分子と相互作用して特定の立体構造を形成する「共役した結合と折り畳み」の分子認識機構が生体内で重要な役割を果たしていることを知りました。このような揺らいだ試料を観測するための特化したNMR技術を習得することで、構造変化の速度や程度など、分子認識機構を解明するための重要な情報を得ることができることを学びました。講義では、どのような測定手法が適用できるのかを知ることができました。具体的な測定技術については簡単ではないところもあり、講義のなかですべてを理解することはできませんでしたが、私にとって、この講習会がNMRを勉強するよいきっかけになりました。
今回の講習会では、変性した試料に応用することができる様々なNMR技術を学ぶことができ、私にとってよい勉強になりました。このような若手育成のための講習会には、今後もぜひ参加したいと思います。
大阪大学 大学院理学研究科 吉村 優一

発現に関する動的な考察をするためのNMR研究について興味深い講演会が多く有りました。またこれまでの講習会とは異なり、講演会の後に講演された内容に関して蛋白質研の800MHzのNMR装置を用いて実際に測定をおこなう実習も行われたようですが、こちらに関しては希望者多数ということで残念ながら、私は抽選にもれてしまいましたが非常に良い企画だと思いました。講演を聞いただけでは測定パラメーターの設定やサンプルの濃度や測定時間など判らず、また測定後のプロセスについても把握できず、時には結果を取り違えてしまうことも起こるので、経験の浅い私にとって実際に測定を披露していただけると即実践できるので大変ありがたいと思いました。今後もこのよう企画を計画していただきたいと思いますが、そこで一点ご提案させていただきたいことがあります。NMR装置の操作PCと会場のプロジェクターを結んで、会場のスクリーンに操作画面を映していただき、より多くの方に測定を実感させていただけたらと思いました。
また最近のトピック的な発表も有り興味深いものでしたが、講習会の最後にNMR手法を用いない天然変性タンパクの研究をされている方との融合を意識されたパネルディスカッションも新鮮で印象に残りました。NMR以外の独自の手法で進められている変性タンパク質の研究の動的な考察で問題になっているようなところを紹介していただき、NMR測定によって解決する糸口があるか話し合われた。NMR関係者とそれ以外のいろいろな分野の方から意見が出て、今後の良いヒントが得られたのではないかと思いました。変性タンパクのコンフォメーション変化に関する研究において今回のような多方面からのアプローチを融合しあえるような環境を作っていただくことで、更なる新しい飛躍が望めると思いました。
最後に今後も最新測定法の講習会を行っていただき、経験の浅い方々の底上げにもご協力いただきたくよろしくお願い致します。
キッセイ薬品工業(株)創薬基盤研究所 野中 義功
2011年4月26日、大阪大学 蛋白質研究所で行われた第2回若手育成講習会「NMRによるタンパク質解析法の基礎的理解(概論と実習)」に参加しました。今回の講習会では、揺らいだ試料観測に特化したNMR技術講習とNMR装置を用いた実習が行われました。
NMRについての概論および理論の講義は、タンパク質の溶液NMRの基礎から始まり、いくつかの測定方法の解説が行われました。揺らぎのあるタンパク質や天然変性タンパク質のNMRスペクトルの例を交えながら、NMRスペクトルの見方と考え方が紹介されました。私は天然変性タンパク質のNMRスペクトルを見慣れていなかったので参考になりました。また、化学交換の大きさと速度を定量するNMR測定法としてR2分散法が解説され、この方法の背景と共にダイナミクス研究における重要性について理解が深まりました。午後は実習班に参加し、NMR実験を効率よく応用し研究を進めていくために必要な具体的手法について解説を受けながら、 実際にNMR装置を用いてNMRスペクトルの測定を行いました。R2分散法等のダイナミクスの測定では、温度補正からパルス幅の調整を実際に測定する試料を用いて行う重要性を知りました。「まずはR2分散法のスペクトルを測ってみよう、良い結果ならシグナルを帰属するモチベーションもあがるから」というコメントが、 NMR実験はシグナルの帰属から始まるのかと考えていた私にはとても印象的でした。最後のセッションは、いくつかの話題に対するパネルディスカッションで、会場からのコメントと共に活発な議論が行われました。私も話題提供する機会をいただき、ここで議論にあがった様々なコメントや提案を今後の自分の研究に活かしていきたいと感じました。最後に、このような講習会を開催して下さり、企画運営していただいた関係者の皆様に感謝いたします。
九州大学 大学院医学研究院 湯澤 聰




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