生命医科学研究科生命医科学研究科
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構造創薬科学研究室

構造創薬科学研究室

概要

私たちの研究室では、タンパク質の具体的な働きを理解するために、X線結晶構造解析、分子生物学、その他様々な生物物理学的手法を用いてタンパク質の機能・構造学的研究を行っています。そのターゲットになるタンパク質は、疾患関連タンパク質、感染病関連タンパク質、金属酵素などです。これらのタンパク質を原子レベルでの立体構造解析を行い、活性発現メカニズム解析を行うことによって、生命現象の理解を試みています。また、得られたタンパク質の立体構造から薬剤分子設計などを行い、将来的には創薬科学へと利用する道を開くことを目指しています。

スタッフ

教授 Jeremy R.H. Tame(ジェレミー テイム)   ResearchMap →
Jeremy R.H. Tame(ジェレミー テイム)
Cambridge University卒業。Medical Research Council分子生物学研究所にてPhD取得。Medical Research Council特別研究員(1989-1991)、York大学研究員(1991-1995)、Royal Society特別研究員(1995-1999)、ERATOプロトニックナノマシンプロジェクト研究員(1999-2001)を経て、2001年4月から現職。
<メッセージ>
医薬品として設計されたタンパク質は、癌や他の病気を治療するための新しい方法を切り開いています。タンパク質を作ってみませんか?
教授 朴 三用(ぱく さんよん)  ResearchMap →
<略歴>
1995年3月大阪大学基礎工学研究科生物工学専攻博士課程修了、博士(工学)。理化学研究所研究員(1995-2001)、2001年4月から横浜市立大学大学院総合理学研究科生体超分子システム科学専攻助教授を経て、2011年4月から同大学院教授。
<メッセージ>
科学に対して疑問と興味、熱意を持ち、楽しくのびのびと研究を進めて行く姿勢が大好きです。

研究内容

人工タンパク質であるピザタンパク質シリーズ. 自己組織化による多量体形成など, 様々な形状をコントロールすることができる.

<PIZAタンパク質の設計>

 私たちはプロペラ型ファミリーと呼ばれるグループに属するタンパク質の人工設計に取り組み、完全回転対称プロペラ型人工タンパク質「ピザタンパク質」シリーズの設計に成功しました。設計方法の基本アイディアに遺伝子重複説を取り入れ、「現在知られている類似タンパク質の遺伝子群は、同一の先祖タンパク質遺伝子が重複、変化してできたものである」という仮説に基づき、コンピューターによってモデリングしました。その結果得られた「先祖タンパク質」は、6個の同一アミノ酸配列モジュールが自己組織化により合体して、6回回転対称形状をとると予測されました。大腸菌組換発現系により、このタンパク質を合成したところ、設計通りの形状を保持することが明らかになりました。現在はこのピザタンパク質を用いた応用研究に挑戦しています。
B型肝炎ウイルスの構造創薬研究

<感染病ウイルスの構造創薬研究>

 ノロウイルスによる嘔吐下痢症、食中毒は毎年世界的規模で発生し、社会活動や経済活動に大きな損害を与えています。このような現状から、これらに有効な予防薬、治療薬の開発が望まれています。本研究室ではノロウイルス遺伝子から合成されるタンパク質や感染受容体の構造を基にした創薬、新規ワクチン開発、それらの基盤となる基礎研究分野の諸問題の解決を目指しています。また、B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus :HBV)の構造創薬の研究も目指しています。全世界のB型肝炎ウイルスの持続感染者は世界で約2.4億人、我が国では全人口の約 1%と推定されており、国内最大級の感染症です。感染を放置すると肝硬変、肝がんといった重篤な病態に進行し、我が国の肝がんによる死亡者数の約9割が肝炎ウイルス起因であると報告されています。近年では、さらなる薬剤耐性ウイルスの出現が懸念されています。従って、多くの肝炎ウイルスキャリアの治療法の開発および改善のために、新たな抗肝炎ウイルス治療薬の開発が強く望まれています。本研究室では、肝炎ウイルスが持つタンパク質と感染受容体の構造解明を目指しています。
インフルエンザウィルスタンパク質の立体構造に基づいた薬剤設計

<インフルエンザウイルスの構造創薬研究>

 インフルエンザは、ウイルスの感染によって引き起こされる病気です。ヒトが感染すると、高熱や関節痛、倦怠感などの全身症状や、喉の痛みや咳などの呼吸器系の症状を示します。近年では、高病原性である鳥インフルエンザの人への感染により、かつて世界で数千万人単位の死者を出したような世界的大流行が起こることが懸念されています。インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは、ウイルスの複製(増殖)に中心的な役割を担っているため、新規薬剤ターゲットとしてこれまで注目されてきましたが、未だにそのような薬剤は開発されていません。本研究室では、RNAポリメラーゼの構造生物学的研究と創薬開発の研究を進めています。

主要文献(Selected Publications)

‣Ohki M, Sato-Tomita A, Matsunaga S, Iseki M, Tame R.H. J, Shibayama N, and Park SY. Molecular mechanism of photoactivation of a light-regulated adenylate cyclase. Proc Natl Acad Sci U S A. 114(32):8562-8567, 2017.
‣Ohki M, Sugiyama K, Kawai F, Tanaka H, Nihei Y, Unzai S, Takebe M, Matsunaga S, Adachi S, Shibayama N, Zhou Z, Koyama R, Ikegaya Y, Takahashi T, Tame JRH, Iseki M, Park SY. Structural insight into photoactivation of an adenylate cyclase from a photosynthetic cyanobacterium. Proc Natl Acad Sci U S A. 113(24):6659-64. 2016.
‣Voet ARD, Noguchi H, Addy C, Zhang KY, Tame JRH. Biomineralization of a Cadmium Chloride Nanocrystal by a Designed Symmetrical Protein. Angew Chem Int Ed Engl. 54(34):9857-60. 2015.
‣Voet ARD, Noguchi H, Addy C, Simoncini D, Terada D, Unzai S, Park SY, Zhang KY, Tame JRH. Computational design of a self-assembling symmetrical β-propeller protein. Proc Natl Acad Sci U S A. 111(42):15102-7.2014.
‣Sugiyama, K., Obayashi, E., Kawaguchi, A., Suzuki, Y., Tame, JRH, Nagata, K., and Park, SY.  Structural insight into the essential PB1-PB2 subunit contact of the influenza virus RNA polymerase. EMBO J 28, 1803-811 (2009).
‣Obayashi, E., Yoshida, H., Kawai, F., Shibayama, N., Kawaguchi, A., Nagata, K., Tame, JRH., and Park, SY. The structural basis for an essential subunit interaction in influenza virus RNA polymerase. Nature 454, 1127-131 (2008).

研究部門